2020/05/21 14:55
◆血液の働き◆ 血液は心臓及び血管を通じてカラダの中を循環している液体です。生命維持には欠かせません。成人では体重の約8%、血液を1/3失うと命が危険になります。 ※体重60kgの成人男子の血液量60kg×0.08=4.8kg。つまり、1.6kgの血液を失うと死の危険にさらされます。 血液の主な働きは3つです。 1、運搬 (酸素、二酸化炭素、ホルモン、栄養、熱量など) 2、緩衝 (pH、ホルモン、体温などを一定にする) 3、防御 (病原体、異物などからカラダを守る) 血液の約45%を占めるのが細胞成分である血球です。その大半が赤血球です。血漿(けっしょう)のほとんどは液体成分です。糖質・脂質・電解質・たんぱく質・ビタミン等の栄養成分、ホルモンや老廃物などが含まれています。 血液はカラダの状態を反映します。血液状態を調べれば、健康状態は一目瞭然です。食生活や疲労まで推し量ることが可能です。 才能に満ち溢れた優秀なランナーでも血液状態が悪ければ思うような競技結果は得られません。実際にあった例をご紹介します。 トップチームに鳴り物入りで加入した選手がいました。周囲の期待を一身に背負っていましたが、思うような結果が出せずにいました。監督から相談を受けて、血液検査結果を拝見しました。中性脂肪が異常値を示していたことが分かりました。 この選手の場合、食事は外食が殆どでした。偏食があり、揚げ物ばかりを好んで食べていました。そんな食生活の影響が血液に及んだのです。中性脂肪が増え、血液がドロドロになり、酸素の運搬能力が落ちていたのです。本来の力を発揮するためには食生活改善が必要でした。 このように血液には食生活がありのままに現れます。その影響はカラダにまで及ぶことを覚えておいて下さい。では、血液状態を良好に保つためにはどのような食生活を送るべきなのでしょうか。 ◆血球は骨髄(こつずい)でつくられる◆ すべての血球(赤血球・白血球・血小板)は骨髄中の造血幹細胞の分化によってつくられます。自分と同じ細胞を複製する能力と複数の血球に分化する能力を兼ね備えているのが造血幹細胞の特徴です。この力によって血液は保持されるのです。 乳幼児期の造血は、全身の骨髄で行われます。思春期を過ぎる頃から、次第に造血部位が減り始めます。成人になると末端の骨では行なわれなくなり、カラダの中心を成す骨の骨髄のみとなります。 ※成人の造血部位(頭蓋骨、胸骨、肋骨、椎骨、骨盤、大腿骨) 骨髄は骨の髄腔(ずいくう)を埋めている柔らかい造血組織です。造血幹細胞を複製し、分化させ、赤血球、白血球、血小板をつくります。通常、成熟した血球のみが血液中に送り出され、未成熟な組織が流出することはありません。 ◆貧血が増える年頃◆ 貧血は思春期のアスリートに多く見られます。それは造血部位が減り始める年頃とも一致しています。 この頃にはスポーツの専門性が高まり、運動量も一気に増加し、栄養の需要も増大します。それらが重なるため、貧血のリスクも高まるのです。 思春期の無理なダイエットは骨の正常な発達を妨げます。骨髄にも悪影響を及ぼし、貧血を助長します。なかでもカラダの中心を成し造血を行う大きな骨(頭蓋骨、胸骨、肋骨、椎骨、骨盤、大腿骨)の脆弱化は造血能力を低下させる可能性もあるからです。 このように丈夫な骨をつくることも、貧血予防には欠かせないのです。 今回の記事はこちらのセリア通信をまとめたものです。 【セリア通信vol.597】血液を育てる #1